1923年7月11日~20日(嘉三14歳)

7月11日 水曜日 曇

今日七時〇めだから、妹はばかにあはている。
キャッチボールをして遊んだ。
夜、成田君の家で軍人将棋をして遊んだ。
十時の汽車のくる頃まで起きていた。
南畝君に聞いたれば、わすれた※そうだ。

※わすれたー大観先生の住所のことか

7月12日 木曜日

母、卵を買に行く。
英語の練習をする。
成田君の家で軍人将ぎをする。
夜る方、安藤さんのやぐらにあがって叱られた。 
南畝君に大観の住所をきいた

7月13日 金曜日 曇

壮丁検査※があるので学校は二時間づつだ。
早いのもあれば遅いのもある。
八幡屋で軍人将ぎをした。
画を一つかいた。
英語の練習をする。
※壮丁検査―明治初期から第二次大戦までの間、陸軍省、文部省が徴兵検査の際、学力、体力の程度を検査した。
大正十四年から満二十歳の男子

7月14日 Saturday 曇雨

朝、初茄子を取った。妹が隣に七郎をつれていった。
ビャウー?を買ってきた。
〇のこが瀧本にいった。
御婆さんが帰ってきた。
英語の練習をして、八幡屋ツミ木をした。

7月15日 Sunday 晴

朝、英語の練習をした。
八幡屋で遊んだ。
大橋屋に下宿をしている山本※という人に、人相手相を見てもらった。
夜、田村君から少年倶楽部かりてきた。

※山本―山本昇 隣の大橋屋に下宿らしい営林署の若手。
        笠間から小見の官舎に移る後、長野県小県郡へ移動

7月16日 Monday

朝、少年倶楽部が読み終わったので、田村君の所に返してきた後、裏の方の草取りをした。
田村君の家で片山君に會った。
久濶をのべ、小学時代の記憶談にうつり、後、夜軍人将棋をやった。
用が終えて八幡で紙の手傳いをした。
片庭の叔父さんが帰ってきた。
向島の幸ちゃん※がきて、種々話をして十一時ねた。

※向島の幸ちゃんー寺腰幸助、明治三十八年生。

嘉三の四歳年上従兄。亥之吉の兄新太朗の長男

7月17日 Tuesday 雨
朝から雨が降っていた。幸ちゃんが町にいった。
〇〇にきている大工の手傳をして、いやはや八幡屋でツミ木をやった成田君と〇投をして〇いだ。
大橋屋で遊んだ。婆さんが友部に瀧本のおじさんの所に病気見舞いにいった。
十時二十分の汽車で婆さんも幸ちゃんも帰ってきない。

7月18日 Wednesday 曇
朝、婆さん、幸ちゃんもいないので、淋しかった。
田村君の家で新聞を読んだ。
吉田に行く時、幸ちゃんが町※1から帰ってきた。
十時半の汽車で水戸※2に行った。
雨が降ったがすぐ止んだ。
これでもつかと思ったら、なんだか陰鬱な日になった。
コップで音楽をこしらいて鳴らした。
湯を立てた。

※1 町 ―寺腰本家。笠間三三六番地。寺腰忠助の家だろう
※2 水戸―幸助さんの叔父寺腰六三郎(水戸南町)

7月19日 木曜日
朝、田村君の家で遊んだ。
河にいって大きいうなぎを逃げられてしまった。
父がきた。
大観の住所を傳へた。
中江からかち〇か壷に行ってきもちがい方をきたのだが、かへって遠まはりをしてしまった。
成田君の所で軍艦将棋をして、いつやでトランプをやって遊んだ。
御婆さん(嘉乃さん)が腹痛がして寝てしまった。

7月20日 金曜日 曇
朝、成田君の家に行って、昨夜田村君にならった。
トランプをして遊んだ。
魚をとりにいった。
森さんの犬が停車場の方に行った。
国夫さんが土浦に行った。
ドウを二つ買ってきた。
夜、山本さんの所でトランプや種々の話を聞てきた。
今日では記憶も終になってきてしまった。

友人
住所記載アリ

宍戸町平町
鈴木清隆

上加賀田
星野勝治

那賀郡石神駅官舎内
益子謙護

東京都金杉濱町三九(金杉駅前)
渡辺髪太郎方 田村茂

笠間町表町
郡司市内

北三筋町六〇
海津カバン店内
滝野清

笠間荒町(東京)
磯山六郎

浅草区向柳原
芝区田村町九
岩城吉之助(亥之吉さんの下の弟)

下谷区三輪町三番地
岩本末吉

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